船橋の企業法務・顧問弁護士イメージ

サービス残業とは

サービス残業とは、本来支払うべき残業代を支払わずに従業員に残業をさせることです。
従業員から未払いの残業代の請求を受けた場合、2年間分は支払う義務があります

たとえば、労働者が毎日2~3時間のサービス残業をしていた場合、2年分の残業代は300~400万円くらいになることもあり、複数の従業員が会社に対して請求した場合には、数千万円にまでなることもあるため、残業問題は、会社を倒産に追い込む可能性まである非常に大きな問題です

また、会社がサービス残業の実態を知りながら適切な措置を講じなかった場合、労働基準監督署から是正勧告を言い渡される可能性があり、この勧告を無視して措置を講じなかった場合、労働基準法違反で検察庁へ書類送検される可能性があります。
最悪の場合には、会社や代表者が罰せられる可能性もあります。

サービス残業への対策

サービス残業対策には、(1)労働時間を削減する方法と(2)残業代を抑制する方法が考えられます。

(1)労働時間の削減

①残業を許可制にする
業務上必要な残業に対しては残業代を支払わなければいけませんが、残業する必要もないのに残業して残業代を請求する労働者に対しては、会社として対応策を考える必要があります。

そこで、会社(上司)の許可がなければ残業ができないようにすることが有効です

具体的には、残業が必要だと考えた場合、所定の用紙に残業時間・業務内容等を記入して上司に申請させ、申請を受けた上司は、明らかに不必要と思われる残業については、残業許可を出さないようにします。実際の残業後も、残業時間数と残業をして実際にどのように業務が進んだのかを報告させ、事後的にも本当に必要な残業であったのかを判断します。

残業は上司の許可がなければできないというルールを社内で周知・徹底し会社内に浸透させることで、労働時間そのものを抑制し、ひいてはサービス残業の抑制につながります。

また、業務時間内に仕事が終わらなければ残業して行えばよいというような意識を持ってしまう従業員も多いのですが、そのような意識を持つことを防ぐことができ、正規の勤務時間における業務の効率性のアップも期待できます

②ノー残業デーを設ける
1週間のうち1日をノー残業デーとして、残業を一切認めない日を作ることも有効です
これによって労働時間の抑制につながり、また、従業員の労働過多を防ぎ、業務時間外を充実させてもらうことにより、正規の勤務時間における業務効率の向上も期待できます。

(2)残業代を抑制する

残業代そのものを直接抑制する方法としては、以下のようなものが考えられます。
①定額残業制
②変形労働時間制の導入
③事業場外のみなし労働時間制の導入
④裁量労働制(専門業務型・企画業務型)の導入
⑤振替休日の利用

いずれの方法も、導入するためには一定の要件が定められておりますので、法律に従った手続きを取る必要があります

残業代の抑制という観点からは有効な手段ですので、専門家である弁護士と相談しながら、導入を検討していただければと思います。

①定額残業制
これは、例えば毎月一定の残業時間が発生しているが、毎月の残業代計算が煩雑であるので残業代を定額としたい場合、割増賃金に代えて一定額の手当を支払う制度です。
この定額残業制については、①通常の賃金部分と時間外割増賃金部分が明確に区別できること、 ②手当に含まれている残業時間を超えた時は、不足分を支払うこと、が必要です。

そのため、この制度を導入する場合は、給与の中に残業を何時間分含めているかを、契約書や就業規則に記載しておくべきです。そして、手当に含まれている残業時間を超えて残業した場合には、超えた分の残業代を支払うことも明記しておくべきです。

②変形労働時間制
変形労働時間制を採用することで、法定労働時間を超えて就業させることができます。これは使用者にとって有利な制度ということができます。この変形労働時間制には、1か月単位、1年単位、1週間単位のものがあります。

③事業場外のみなし労働時間制
従業員が事業場外で業務に従事している場合で、労働時間を算定しにくいときに、所定労働時間だけ労働したものとみなす制度です。

この制度を導入するには、就業規則にその旨を定める必要があります。みなし労働時間が 所定労働時間を超える場合には、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」について、 労使協定を締結し、その協定届を労働基準監督署に届け出なければなりません。
このように、この制度の導入には注意しなければならない点があるため、労働の専門家である弁護士までご相談下さい。

④裁量労働制(専門業務型・企画業務型)
一定の専門的・裁量的業務に従事する労働者について、職務遂行の手段・時間配分の決定等を 労働者の裁量に委ね、労働時間については「みなし労働時間」を定めて労働時間を算定する制度です。

⑤ 振替休日の利用
休日に働いてもらう必要が出てきた場合に、振替休日を利用することが有効です。
本来は、休日出勤の場合、休日割増手当(法定休日の場合3割5分増し)を払わなければなりませんが、振替休日を利用することで、この割増賃金を支払う必要がなくなります。
ただし、いくつかの要件を満たす必要があり、その要件を満たさない場合には、振替休日ではなく「代休」となってしまいますので(「休日労働」の割増賃金35%を支払う必要があります)、詳しくは弁護士にご相談下さい。


労務問題関連ページ
労務問題(TOP)
残業問題
解雇、退職勧奨
出向・転籍・配転
セクハラ
パワハラ

お問い合わせ

このページの先頭へ